タイコは他の楽器よりもすぐに音楽に参加できて、いいですよね。
基礎打ちを真面目にやっていれば、そのうちには音楽で使えるテクニックが付いてきます。また、小物打楽器は曲の中でしか練習しなくても何とかやれる感じがします。
おおよその学校(団体)の打楽器パートメンバーは、わりとすぐに演奏要員として舞台に立っています。木管・金管と違って“音”だけはすぐに出るからです。
でも、“打楽器の音(音色)”のことを考え始めると、実は大変なパートなのだ、ということに気が付きますよ。
たとえば、赤ちゃんが“バンバン”と何となく音を出しているのを聞いて、“きれいな音だ”と思う人がいるでしょうか?
職人さんが釘を打っているとき意識して音を出しているので「打楽器奏者」と言えるでしょうか?・・実は、あの打音は心地よくて私は好きですが・・他の
リズムではたぶん釘をうまく打てないでしょうから、いろんなリズムを出せない場合は打楽器奏者とは言えませんね。
“叩いて音が出る”ことと、“打楽器の音を聞かせる”ことは違います。
どこが違うのでしょうか?
それは、打つ音に対して意識があるか無いか、です。
どこに意識を持って叩けば良いか、をわかって演奏すれば“打楽器を弾いている”と胸を張って言えますよ。
以下に意識する事柄を思いつくだけ書いてみます。他にも抜けている点があるかもしれません。思い当たる事があったら投稿お願いしますね。
1. タイコの面(音が出る場所)までの距離を把握していること
2. 速さと距離をあやつって、音が出せること
3. 出したいリズムを思い描けていること
4. 音を出した後、響きの処理が適切にできること
これを書いている私自身も、こんなにたくさん一度に意識することは無理です。が、実はもう皆さんは無意識にやっていることも多いのです。<意識した音を出すには>
[1]タイコの面までの距離を把握していること
極端な例をあげると、どこが打面だか分からないままバチを動かしても良い音はでませんね。赤ん坊の“バンバン”と違い、私達は無意識に『距離を測って演奏している』のです。
距離感がうまくいってないとタイコの皮に穴が開いたり、小さい音のときバチが空振りして音が出なかったり・・また、自分ではしっかりした大きい音を出したつもりでも実際はあまり良い音が出てなかったり・・となります。
距離を把握してこその打音ですね。また、距離がわかっていると、そこまでのバチの動き方も決められますね。[2]速さと距離をあやつって、音が出せること
これを意識するのに良い方法があるので、読みながらやってみてください。
地球には「重力」があって、どんな物も落ちていくときにはだんだん速さが増していきます。
演奏中のバチや腕にも「重力」がかかっているので、そのまま落とせばバチの速さはだんだん変わっていくはずです。
ちょっと意識して落としてみましょう。自然に腕(バチ)が落ちてだんだん速くなる感覚が把握できたら、もう速さを調節する意識が生まれたと言えます!
途中から速くならないように、落とし方をセーブしたり、すごく速く腕を落としたり、最初から速く動かしてみるなど、いろんな動かし方をしてみましょう。それが“速さをあやつっている”ということですね。
バチの位置(バチと打面の距離)を変えてみると、さらに変化が加わります。今自分がやっている音楽に一番適した音はどんな音かを考えたとき、どの距離からどんな速さでバチを動かせば良いかと判断しながら演奏するようになればしめたものです。
操作する感覚は最初ぎこちないですが、慣れるとバチの高さ・速さの違いで音が変化することが楽しくなりますよ。
基礎練習のときに意識して練習してみてください。[3]出したいリズムを思い描くこと
打楽器奏者はいつもこれを意識していなければいけません。
ちょっときつい書き方になりましたが、それほど大切なことです。
譜面に書いてあるリズムを見てメトロノーム通りに叩くだけなら、機械と変わりません。いえ、むしろ電子音のほうが安定した“良いリズム”となってしまう可能性もあります。
安定したメトロノームテンポを出すことも打楽器奏者の大切な使命ですが、人間にしかできない柔軟な感性でリズムを出すことも大切な役割です。
柔軟なリズムをちゃんと出せる為にはまず、旋律楽器の歌い方が分かっていることですね。他のパートが出しているリズムも良く聴いてメトロノームとの差がわかってくると、どのようなリズムを出すのが音楽的なのかもわかってきます。
音楽を自分のものにしてから打楽器のパート譜をみると、単調な音符にも“旋律”が見えてくるから不思議ですよね。たぶん、皆さんそういう経験あると思いますが。
腕(バチ)にその感性が直接伝わるように意識を強く持ってリズムを思い描くことが大切です。歌いながら練習するのも良い方法の一つですね。[4]音を出した後、響きの処理が適切にできること
これは一見たいした問題ではないように感じますが、実は打楽器はきれいな響きを出すことと同じ位、音を出した後の響きをどう止めるかも大事な音楽の一部なのです。自分が出した音に責任をもつ意識は必要ですよね。
木管・金管奏者は息を止めると音が止まりますが、打楽器はそうはいきませんね。音符に書いてある音の長さ(4分音符・2分音符など)と音楽的な長さとは違う場合もあります。
管楽器の息使いを想像して、また実際に一緒に息を使ってみて長さを判断するのも良いでしょう。
打楽器はいろいろな素材やさまざまなバチ、演奏する角度もいろいろで、楽器によって腕の使い方も違っていますね。
それらに共通している意識の“基礎”が持てているかそうでないかで後々の楽器練習にかなり差が出てきます。
どの楽器に当たっても上の4つを思い出して練習に望んでくださいね。
「打楽器の音について」おわり。
■『狩猟民族と農耕民族』
今回は『狩猟民族と農耕民族』というお話しです。一見演奏にはまるで関係ないようです が、実は根本的なところでとても大きな意味を持っていると思います。この二つの民族の 違いを知ることで、今まで理解できなかった演奏上の違いを理解できるようになる・・・ かもしれません。今回のお話しも大変個人的見解ですから「正解」ではありません。● 狩猟民族の西洋人、農耕民族の東洋人
まず西洋人が狩猟民族であり、東洋人が農耕民族であるという理由を書かなければなりま せん。西洋人は大昔より牛などの動物の肉を好んで食べてきました。それに対して東洋人 は水田などの農耕技術を発達させ、穀類中心の食文化を持っています。「主食とおかず」 という考え方は西洋にはありません。言葉上では同じ意味の「メインディッシュ」は肉や 魚など、その食事の中心となる食べ物を指すのはおもしろいですね。● 肉が好きなら狩猟民族?
「私はご飯より肉の方が好きだから狩猟民族かな?」と思う方がいるかもしれませんが、 そういう意味ではありません。また、「うちは農家だから農耕民族?」ということでもあ りません。もちろん西洋でも農耕は行われています。今回考えていきたいのは、先祖から 受け継がれてきた民族的な力の使い方、感覚などです。● O型が多い西洋、A型が多い東洋
血液型でも民族を証明できるという説があります。 ・ O型はゼロ型で、血液型の原型。西洋人に多い。狩猟民族型なためO型には肉を好きな 人が多い。また消化器官が丈夫。 ・ O型の次に現れたのがA型で日本人に多い。農耕民族型で穀類を多くとると良い。 ・ A型の次に現れたのがB型で牧畜型。乳製品を多くとると良い。 ・ 最後に現れたのがAB型で複合型。 テレビで放送されていた説ですが、興味深いと思います。● 球技のほとんどが西洋から来た
サッカー、野球、テニスなどほとんどの球技は西洋から来たことに気付いたことがありま すか?東洋、特に日本には伝統的な球技はほとんど無いと思います。これはどんな意味が あるのでしょう。「ボールを追いかける」という行為は「野山で獲物を捕まえる」という 狩猟民族の本能を呼び起こしているのだと私は思います。サッカーのボールをあれほど徹 底的に追いかけるための本能は、日本人はもともと持っていないのではないでしょうか。 以前、日本代表のサッカーチームに対して「狩猟民族にならなきゃダメだ」とテレビで言 っている人がいました。● 「倒されない」日本のスポーツ
では日本の伝統的なスポーツ、相撲や柔道はどうでしょう。「倒されない」という共通点 がありますね。これはどんな意味があると思いますか。農耕民族にとって畑や、特に水田 では重心を低くして足をしっかり地面につけ、「倒れない」ことが大事だからだと私は考 えます。● 押して切るノコギリ、引いて切るノコギリ
もう一つ身近なところに力の使い方が正反対なものがあります。ノコギリです。日本のノ コギリは基本的に引いて切るようにできていますが、西洋のノコギリは押したときに切れ るようにできています。大したことではないと思うかもしれませんが、西洋人と東洋人の 力の使い方の違いをこれほどはっきりと表しているものはなかなかありません。東洋人は 「体を固める」時に力を使い、西洋人は「力を解放する」時に力を使うのです。● 「重心を低く、下腹に力を込める」は農耕から来た
前回もお話ししたように、農耕民族は「倒れない」ことが重要なため、重心を低くし、 下腹に力を込めてきました。また東洋医学や「気」の考えから「丹田」を意識することも あると思います。● 「飛び跳ねていた」狩猟民族
狩猟民族がもし重心を低くしていたら獲物は捕まえられません。動物と同じく飛び跳ねる ように走り、獲物を捕まえていたでしょう。前回お話ししたノコギリの違いもここから来 ているのではないでしょうか。『地面にしっかり足をつける→体を固める→ノコギリを引 く』、『飛び跳ねる→力を解放する→ノコギリを押す』。もちろんこれは私の個人的な想 像ですが。● ジャズのアップビート
西洋人よりもっと狩猟民族といえる黒人の音楽、ジャズはアップビート(ウラの拍)がと ても大切で、手拍子もアップビートに入れますね。『なぜアップビートなのか』というこ とを改めて考えると、民族的なことを考慮しないでは無理だと思います。● 和太鼓と西洋のタイコ
タイコは西洋と日本で構造はほとんど一緒なのに奏法は全く違うそうです。私は打楽器の 演奏はできないので、打楽器奏者に聞いた話ですが、和太鼓は『皮を押さえつける、また は向こうに突き抜けるように打つ』、西洋のタイコは『皮の上にあるバチを、ボールが跳 ねるように打つ』そうです。(表現が適切でないかもしれませんが) もし和太鼓を西洋式に演奏すると「ズン」といういい音がせず、また西洋のタイコを日本 式に打つと楽器が全く響きません。 この違いは狩猟民族と農耕民族の違いを全く同じではないでしょうか。どちらがいい悪い ではなく、別の物だと思うのです。● 「日本風の音」じゃいけないの?
「日本人なんだから日本人にしか出せない管楽器の音を出そう」と考える人がいますが、 これはどうでしょうか。 もし世界的なオペラ歌手が日本の歌舞伎や長唄を歌ったらどうなるでしょう。声はすばら しいかもしれませんが全く別な物になってしまいます。同様に、管楽器を日本式に鳴らす べきではないと思うのです。● ムチが一番痛い
西洋式の力の使い方は「リラックスしているときが一番力が出せる」のだと思います。一 見矛盾しているようですが、ムチが痛いのはどこにも固い部分がないため、結果的に先端 のスピードがとても速くなっているからだと思います。野球のホームランバッターにも同 じことが言えます。力んでしまうと「ドア」のようなスイングになって遠くへ飛びません が、リラックスしていると体がムチのようになり、バットのヘッドスピードは一番速くな るのです。全力疾走をする時、リラックスしているのが一番速く走れることは誰でも実感 していると思います。● 「あなたの演奏は狩猟民族型?それとも農耕民族型?」
では実際の演奏の仕方でどちらの型なのかを判断してみましょう。まず全て農耕民族型を 考えてみます。 『下腹に力を入れる』 → 農耕型 『丹田を意識する』 → 農耕型 『おなかや背中を固くして演奏している』 → 農耕型 この三つは全て下半身に力を入れる結果となり、明らかに農耕型ですね。 『楽器を演奏するときは腹式呼吸のみ』 → 農耕型 『おなかから押し出すように息を使っている』 → 農耕型 今回は呼吸の話には触れませんが、上記のように考えているとどうしても下腹部に力が入 り、固くなってしまいます。 『皮が突き抜けるようなつもりでタイコをたたいている』 → 農耕型 『客席に突き抜けるように楽器を吹いている』 → 農耕型 前にお話ししたタイコの奏法を管楽器に置き換えると、直線的に突き抜ける、突きささる、 という表現になると思います。● 西洋の楽器は狩猟民族型で演奏しよう
東洋の楽器は農耕型、西洋の楽器は狩猟型で演奏するのが一番いい音がする、と私は思い ます。でも実際の演奏の時に「狩猟型で」、「跳ねるように」と言ってもわかりにくいで すね。別の言葉でこんなことに気をつけてみてください。 ・リラックスする(リラックスしたときに最大の力が出せることを理解する) ・どこまで無駄な力を入れずに演奏できるか ・力を解放するように演奏する ・おなかなど体を固くしない ・腹式呼吸にとらわれず、体全体で深呼吸する ・押さえつけるようにではなく、ホール全体に響き渡るように演奏する 「おなかを固くしないとハイトーンが出ない」とトランペット奏者なら思うかもしれませ ん。でもホースで水を出すことを考えてください。ハイトーンを出すのは、ホースの先を つまんで細くして水を遠くにとばすのと同じだと思います。確かにホース内の圧力は高く なるのですが、それは結果であって、ホースの外から力を加えているのではありません。 わかりにくいかもしれませんが、「おなかや背中を固くしなければ思いっきり吹いてい い」と思ってください。リラックスして思いっきりバットを振るのがホームランを打てる こつだと思います。 (小倉貞行)
本番の心構えと準備について三項目ほど上げてみました。どれに優先順位があるというわけではありません。三項目をバランスよく融合、準備するとことによって満足のいく結果が得られるかもしれないということです。
(一)楽器とリードのコンディション
まずは楽器のセッティングがきちんとしていないとリードの選択もできません。タンポ閉時の漏れはないか?開きは適当か?キーバランスはどうか?ノイズはないか?湿気てないか?トーンホールやボーカルに汚れや、ホコリ、水垢がたまっていないか?等々常日頃チェックしていなければなりません。日頃のメンテナンスを怠ると思いもよらぬ事故を誘発する原因となります。ファゴットは意外とデリケートな楽器です。自分で漏れているなとわかるような場合は、相当を傷口が広がっている証拠です。大事な本番はなるべく早めにリペアレディー(マン)に調整してもらいましょう。
さあ楽器の調整が完ぺきになったら今度はリードです。これがとてもやっかいな代物で一筋縄ではいきません。自分の思い通りの音楽を表現できるのは、リードによるところが大変大きいといっても過言ではありません。
ここではリードの細部については触れませんが、リードは演奏者がそれぞれで形、寸法、厚さ、開き、材質、削り方等々千差万別です。これはこうあるべきであるという考え方にあまり固執せず自分にとって何がベターなのかと考えた方が柔軟なように思います。要するに現在の演奏形態と曲目に対する奏法とが自分に合っていれば良いのではないかとだけ述べておきます。本番用のリードは事故に備えて2〜3本は必要でしょう。
練習所で本番用リードを完成させてしまうのはやや危険が伴います。本番会場と練習所での響きや、強弱、レスポンス等のバランスに大きなギャップを感じ戸惑うことが多々あるからです。
原因のひとつに音響空間の広さの違いや並び方の違い等が考えられます。したがって練習所では何本か使い回しをして、本番用リードに目印をつけ、当日会場にて響き具合いや湿度等を考慮し、微調整してから決定するのがベストかもしれません。微調整できない方々は、現在自分が最高と思うリードを使用するしかありませんが、本番用のリードを練習に長時間使用し過ぎると本番の時木目細かなレスポンスが得られなくなる可能性もあります。
また本番用にと使用せず取って置き、いざ本番という時何か違和感があり、演奏し辛い場合もありとなかなか難儀なのです。本番用にと思っているリードは1日1時間くらい使用するのがベターかもしれません。
リードは湿度やエイジング等によって毎日変化するものです。リードの在庫に余裕のある方は、曲によって使い分けるのもひとつの方法です。
以上のことを考慮して自分にとってのスーパーリードをご準備ください。(二)音楽表現の具体的な技術対策(準備)と概念
私たちプロは練習に入る前から当然楽譜を入手し、十分な練習を積み重ねて練習初日には技術的なことや音楽表現上必要なイメージ等を個人的レベルにおいておよそ完成させて臨むわけです。スコアリーディングが伴えばさらに精度の高いものになります。指揮者も当然考えがまとまっています。そして両者が丁々発止と渡り合い(?)ながらさらに掘り下げて質の高い音楽作りを目指します。アマチュアの皆さんの場合は、個人練習、合奏、パート練習、合奏という手順を繰り返して本番に臨むのではないかと思います。この練習の時決定しなければならない技術的要素がたくさんあります。
美しい音色、音質で響いているか?正しい音程か?フレーズィングは?ブレスはどこで取るか?フィンガリングは?ディミヌエンドは響いているか?ハーモニーバランスは?柔軟な発音は?マルカートは?レガートは?スタッカートは?強弱は?等々の奏法を200%くらい完璧にするつもりで繰り返し能率よく練習する必要があります。これらの奏法を可能たらしめるものは(一)で述べたことと密接なかかわりあいがあるので、(一)をないがしろにすると満足いく結果は得られないでしょう。200%の自信を持って本番に臨んでも、失敗や事故はつきものです。とにかく練習あるのみです!!
技術的な裏付けができたら、どうしたら聴衆のハートをとらえられる素晴らしい音楽表現ができるのかを考えてみましょう。哲学といっては大げさになりますが、表現する上で大切なのは、主体的に自己表現をしようとする意志ではないかと思います。あなた任せではいけません。一人ひとりが強い意志を持ち、融合、収集することによって主張のある音楽になるのではないでしょうか?時にはやりすぎて嫌味になる場合もあるでしょうが、経験を積むことによって徐々に心地よい表現ができるようになるでしょう。主体的な自己主張を持たないのに、楽器を通せば何か表現できるかもしれないと考える人たちがいましたら、それは錯覚であり、大いなる幻想です。繰り返しになりますが、自然に体の中から沸き上がってくるものも含めて、音楽を感じ、主体的に何かを表現してみようとする積極的な気持ちが大切です。この気持ちは音楽の持つそれぞれのキャラクター表現に繋がっていくように思います。要するに『歌』ですね。(三)健康のための心構えと準備
健康については言わずもがな!本番には最上の精神と健康状態で臨むのがベストです。各自の責任においてコンディショニングをしましょう。ここでも主体的な強い意志が要求されます。夜更かし、深酒、ストレス、疲労の蓄積等々は当然悪影響を及ぼします。自己抑制です!
以上3項目の心構えと準備でいざ本番 グッドラック!! ブラボーが待っている(?)
(金崎守)
○プロになるまでの道は本当に険しい。相当の覚悟を!
何の世界でも「プロ」と呼ばれる人になるのはとても大変です。特に音楽家はプロになれる人数がとても少ない割に希望する人が多いのです。『夢を追うってかっこいい』、『今楽器をやっているから』、『普通大学の受験勉強をするのがいや』などの理由で音楽家を目指すのは、はっきり言ってやめた方がいいと思います。目指すからには相当の覚悟をしてください。○まず音楽大学へ
プロの奏者の中には音大へ行ってない人や外国の音大へ行った人もいますが、例外中の例外と思った方がいいと思います。その人は大変な実力と、幸運に巡り会ったのです。「・・ドリーム」はかっこいいですが、夢を実現できなくて消えていく人がほとんどなのです。まず日本の音楽大学へ行ってください。どこの音楽大学にするかは、普通大学の志望校を決めるのと同じく、演奏の実力、学力、入学金・授業料等の金額などで決めるのが普通です。習いたい先生が教えている大学へ行く、というのもいいと思います。○絶対音感は絶対必要?
一時話題になった絶対音感は必要でしょうか。いいえ、必要ありません。でも音大受験の聴音で非常に有利であるのは間違いありません。プロの管楽器奏者の中では絶対音感を持っていない人の割合が多いと思います。特に移調楽器の演奏にはかえってじゃまになることもあるようです。また絶対音感と音程の善し悪しは別の問題です。絶対音感は大人になってから付くものではありませんから、持っている人は有効に使い、持ってない人はあまり不利だと思わずにソルフェージュの勉強をしてください。○レッスンを受ける先生を決めるには
音大を受験することにしたらまず自分の楽器の先生のレッスンを受けて下さい。先生を決めるには、自分が一番好きな演奏をしている人が一番だと思います。また、受験したい音大の先生につくことが可能な場合もあります。連絡方法は、会う機会があったら直接お願いする、学校の先生や楽器店に調べてもらう、詳しい人に紹介してもらう、オーケストラなどに手紙やメールを出してみる、といった方法があると思います。○レッスンを受ける時気を付ける点
レッスンを受ける時に気を付けるポイントをいくつか上げてみます。ただ、先生によって違いますから先生の考えを最優先させて下さい。
・遅刻をしない
当たり前のことですが、音楽家が一番してはいけないのが遅刻です。プロのオーケストラでも遅刻が多いという理由で解雇された人が何人もいます。リハーサルでは全員がそろっていなければ始められないからです。レッスンの時間を決める時には必ず手帳などに日時を復唱しながら書き込むのがいいでしょう。そして準備があるのでレッスン時間の5〜10分くらい前に着くのがいいと思います。(先生によって違いますので直接聞いて下さい)もしやむを得ず遅刻してしまう場合は、必ず早めに電話すること。レッスン時間を過ぎてから電話をするのは大変に失礼になります。
・十分練習していく
これも当たり前ですが、十分練習してからレッスンに行きましょう。「あまり練習してません」と言われてレッスンをしても、先生は教える気が起きませんし、時間の無駄です。
・レッスンで泣くな!
特に女の子はレッスンで泣かないこと!泣いてしまったらもう何も言ってもらえません。きびしくても全て言ってもらいましょう。
・健康管理もレッスンの内
「風邪なので休ませてください」はプロ失格!練習の時にどんなに完璧でも本番で風邪をひいてしまっては何にもなりません。本番に向けて健康管理をするのもプロです。レッスンを受ける時にも同じ心構えで臨んでください。○音楽家になるのはお金がかかる?
音楽大学が普通の大学より授業料等が高いのは、ピアノやホール等学校の施設にお金がかかるのと、個人レッスンが基本だからです。また入学するまでも楽器やピアノのレッスンなど、全て個人レッスンですからどうしても普通よりお金がかかります。またいい楽器を買う必要もでて来るでしょう。○留学ってした方がいいの?
どうしても習いたい先生が外国にいる場合、音大を卒業してから留学してもいいと思います。学校によって違いますが、大学院に入る場合と、大学で楽器のレッスンのみを受けるケース、語学学校に行くことでビザを取って個人レッスンを受けるケースなどがあります。留学経験者は大勢いますからオーディションで有利、ということは全くありません。○外国のオーケストラに入るには?
外国のオーケストラで活躍する日本人を見て憧れている人もいると思います。ほとんどの場合、留学した先でオーディションを受けて入団しています。でも外国のオーディションに受かるのは日本以上に大変です。実力もそうですが、自国の奏者を優先させる場合があるからです。また、正式な労働許可が下りるまで何年もかかる場合があります。オーディションを受ける人数も年々増加しています。日本のオーディションで100人を超すことはあまりありませんが、例えばアメリカの場合、2〜300人になってしまうのでまずテープ審査をするオーケストラが増えています。○音楽家は職人と同じ、楽器をやめるまで追求・練習
プロになったら完成、と思う方もいるかもしれませんが、音楽家は職人と同じでいつも技術を磨いてなければなりません。プロになってからも演奏で悩んだり、調子が悪い時もあります。でももう尋ねる人もいません。自分自身で考え、解決しなければならないのです。それは楽器をやめるまで続きます。そこまで覚悟をしてください。
(小倉貞行)
「ポップスはどうも苦手」と思っている方のために『ポップス克服法』をお話ししましょう。ポップスが得意な方は読む必要ありません。「クラシックはいいけど、ポップスはどうやって演奏していいかわからない」という方のためです。例によって大変個人的見解です。
○ポップスはプロのクラッシック奏者も苦手?
プロのクラッシック奏者もポップスが得意とは限りません。それは本場アメリカでも同じです。オーケストラ奏者でも別格にポップスがうまい人もいれば不得意な人もいるのです。○練習して覚える
ではどうやって演奏できるようになるかというと、練習するのです。特にポップスがクラッシックと違う点はリズムの取り方や音符の吹き方です。ある程度は理屈がありますが、後は練習して体でリズムを覚えているのです。○リズムパターンはセクションで決める、合わせる
特にブラスセクションにはいろいろなリズムパターンが出てきます。例えば、『この8分音符は長く、4分音符は短く』『ダーダ・ダーダという感じで』という様にセクションで音符の吹き方を細かく決めて下さい。そしてセクションで何度も練習してリズムパターンを覚えてしまうのです。○スウィングする?
ポップスは何でもスウィングしてしまう人がいますが、それは間違いです。例えばラグやロックではスウィングしません。ポップスは自由、といっても最低限のルールは覚えるようにしましょう。○クラッシックの先入観を捨てる
クラッシックではやってはいけないとされる奏法を使うこともあります。例えば「舌で音を止める」などです。「音を飲む」ようにとても短く切ることもあります。また、「8分音符をテヌートで、4分音符はスタッカート」というようにクラッシックとは逆のアーティキュレイションにすることも多いのです。クラッシックの先入観は捨てないと理解できないこともあります。○まず言葉や歌
何故こんなにリズムが違うのかというと、クラッシックはまず楽譜があり、その音符上に言葉が付きますが、ポップスはまず言葉や歌、リズムがあり、そこにクラッシックの音符表記を当てはめたため、完全には表現しきれないためだと思います。例えば「ダーダッ」というリズムは「テヌートとスタッカート」でしか表現できないのです。○とにかく聴いて覚える、歌って覚える!
ですから一番いいのはとにかく本物を何度も聴いて覚えることです。また、歌詞がついている曲なら、できれば原語で歌ってみてください。そしてそのまま演奏すれば一番本物に近くなるでしょう。ポップスの場合、楽譜はできるだけ近い表現をした記号だと思っていいと思います。
(小倉貞行)
歴史
日本の吹奏楽(Wind Band) は、1869年、英国の吹奏楽指導者 John William Fenton 率いる35名の薩摩藩士によって始まりました。当時の薩摩藩主・島津久光 公は、英国のBesson商会(現・Boosey & Hawkes 社)から吹奏楽団一式分の楽器を自 ら購入、日本が、西洋音楽を初めて学んだのは、この洋式の軍楽隊でした。 陸軍軍楽隊は、フランス式を採用、海軍軍楽隊は、当初、英国式、のちにドイツ式 を取り入れました。これらの軍楽隊は、第二次世界大戦の終わる1945年まで続き ました。
大戦後、日本は、米国の公立学校の教育システムを採用しましたが、中でもスクー ル・バンドや音楽教育は、アメリカの影響を受けて今日まで発展してきました。
現在、日本で活動している学校バンド、一般バンド、職場バンドの数は、約150 00団体(内・全日本吹奏楽連盟加盟団体13,447)あるといわれますが、毎年、 秋、東京の普門館で催される全日本吹奏楽コンクールは、大盛況です。そして、いく つかの日本のバンドは、ヨーロッパの音楽祭や米国シカゴのMid-West International Band & Orchestra Clinic や世界各地で開かれる世界吹奏楽大会(W.A.S.B.E.)に参 加しています。
一方、音楽教育の分野、特に音楽大学レヴェルにおいて、我々は、ヨーロッパ諸国 から多くの影響を受けています。例えば、和声とソルフェージュは、フランスから、 オーケストラ演奏法は、ドイツ、そして、グランド・オペラは、イタリアから学ぶと いった具合です。 このように多くの日本の音楽家達は、偉大な西洋音楽が、生まれ たヨーロッパ諸国の素晴しい伝統を引き継いでいます。 学校バンド 日本の学校バンドの大多数は、課外活動(クラブ活動)として行われています。小学 校では、4年生から始められ、中学、高校、大学と続ける事ができます。そして、生 徒本人が楽器を演奏したいと望んで入部するところが、クラブ活動の大きな特長です。 これらの学校バンドの活動の中心は、全日本吹奏楽連盟が主催する吹奏楽コンクール です。他に、アンサンブル・コンテスト、マーチング・バンド・コンテスト、そして 地域の吹奏楽祭や学校主催の体育祭・文化祭、定期演奏会などが一般的な活動です。 全日本吹奏楽連盟に加盟する学校バンドは以下の通り:
小学校=1011、中学校=6719、高校=3688、大学=309
市民バンド(一般バンド)
日本には、現在、1708団体の市民バンドがあります。学校バンドで楽器を始めた 人たちが中心ですが、中には余暇を過ごす為に始める初心者が気軽に入れるバンドも あります。一方、音大生やプロが加わるセミ・プロのような市民バンドもあり将に多 種多様です。年令層も若者から高齢者と幅広く、大勢の人々に愛好されています。 職場バンド
職場のバンドは、現在、130団体ありますが、日本経済の不況の最中、多くの職場 のバンドは危機に立たされています。しかし、この分野は、バンドの盛んな米国には ないユニークなものであり、また、英国の金管バンドの職場バンドとは異なる純粋に アマチュアの組織であり、労働者たちの真のRecreationです。プロのバンド
日本には、航空、海上、陸上自衛隊、警察、消防、海上保安庁音楽隊など官公庁(政 府)に所属するバンドがあります。一部の地域の警察、消防と海上保安庁音楽隊を除 き、これらは、常設のプロフェッショナル・バンドです。 また、これらの国立の音楽隊に加えて、日本には、2つのユニークなプロの吹奏楽
団があります。大阪市音楽団は、80年の歴史を持つ日本で一番伝統のあるプロの吹奏楽団です。地方公共団体、大阪市に所属し、大阪市が、運営する世界でも例のない存在としても注目を集めています。もう一つのグループは、私が所属している東京佼成ウィンド・オーケストラです。これもまた世界に例のないユニークなプロの管楽合奏団です。東京佼成ウィンド・オーケストラは、1960年、東京の杉並に本部を構える仏教団体、立正佼成会の援助によって設立されました。1989年、92年の2度のヨーロッパ公演を成功させ、また、1999年の年末から2000年の年始にかけて台湾公演を行っています。ゲスト・アーティストとして、Branimir Slokar、Christian Lindberg (Trombone)、Raymond Young、Brian BowmanEuphonium),Winston Morris(Tuba)、Allan Vizzutti、Yeh Shu Han(Trumpet)、MichaileKoffler(Flute)等。また、指揮者としてHans Graff、Donald Hunsberger、DouglasBostok, Alfred Reed ほか様々な音楽家を海外から招いています。また、我々の桂冠指揮者(Conductor Laurie) は、Eastman Wind Ensemble の創設者として知られ、東京佼成ウィンド・オーケストラの常任指揮者を12年間務めたMaestro、FrederickFennell博士です。そして、佼成ウィンド・オーケストラが、録音したLPとCDの数は300種を越えます。
編成
日本のバンドの標準編成は、米国の学校バンドとほぼ同じですが、吹奏楽コンクールの制限人数や課題曲の編成によって次のものが一般的な日本のバンドの標準編成とされています。
Piccolo & Flute 3, Oboe 1, Bassoon 1, E_Clarinet 1, B_Clarinet 6〜9, Alto Clarinet 1, Bass Clarinet 1, Contra Bass Clarinet 1、 Alto Saxphone 2, Tenor Saxphone 1, Baritone Saxphone 1, Trumpet 3〜6, Horn 4, Trombone 3, Euphonium 2, Tuba 2, String Bass 1, Timpani 1, Percussion 3〜5 合計37〜43
最近の傾向としては、Harpの普及が顕著であり、2台使用されるのも珍しくありません。また、トランペット・パートでは、Cornet、 Flugel-Horn , Piccolo Trumpetを使用したり、ユーフォニアムでは、 Baritone、オーボエは、 English-Hornの持ち替えなどがよく行われます。
音楽教育における吹奏楽
日本の音楽大学や音楽高校では、合奏の授業として吹奏楽(管打合奏)を行っていますが、それぞれの管・打楽器を専攻とする学生によって構成されるアンサンブルが、吹奏楽を一つの学問として捉え、その演習としてアマチュアにはないアカデミックな取り組みが活発に行われているとは、言い難いのが現状です。
指導者について
日本の吹奏楽の指導者は、音楽の教師とは限りません。電気や物理、国語、数学など様々な科目の先生が指導にあたっておられます。これらの先生方と生徒達は、音楽を媒体として人間教育に取り組んでいるのです。もちろん音楽科の先生やプロの指導者が直接、指導にあたるバンドもたくさんあります。また、日本吹奏楽指導者協会(Japan Bandmasters Association)や日本管打・吹奏楽学会(Bandmasters Academic Society of Japan)のような研究団体では、吹奏楽を学問的に捉え研究、実践活動を重ねたり、或いは、専門的な指導者の育成を行っています。ですから日本の吹奏楽の指導者には、音楽教育と人間教育の二つの面があります。
楽譜・奏者・楽器
どの音楽の分野にもその音楽演奏が活性化する為には、三つの要素(条件)がありま す。作品と楽譜の流通、それを演奏する奏者たち、そして、その要求に答える性能の良い楽器です。これらの三つの要素はお互いを支え協力しあって演奏が活発に行われるのです。吹奏楽の分野では、日本人のオリジナル作品は近年、質・量とも増えてきました。編曲作品に至っては膨大な数に上るでしょう。奏者の数は、推定60万人いるといわれています。そして、楽器の製作や販売・修理は、様々なメーカーやディーラーが、競っています。
欧米との比較
日本の吹奏楽(Wind Band)は、楽譜・奏者・楽器を見ても解るように大きな繁栄を築いているように思われます。しかし、ヨーロッパにおける金管バンドや吹奏楽が、しっかりと根を張った一つの文化(Culture)であるのに対し, また、アメリカにおける吹奏楽が、音楽教育であるのに対し、日本の吹奏楽は、ただの現象にすぎないという厳しい意見もあります。
将来の課題
日本の吹奏楽が、単なる盛んな現象というのは、確かに厳しい見方かも知れません。しかし、日本の吹奏楽が抱える課題として、まず、社会性の問題があります。(普門館の外は関係のない世界という現状)そして、教育における学問としての扱われ方もこれから取り組まなければならない大きな課題でしょう。(音楽大学において専門家による専門的な教育がなされていない現状)また、学校バンドの現場では、少子化や男子部員の不足が問題とされています。
みなさん、こんにちは!寒くなってきましたねぇ。冬服を着たりして体の方は寒さに備えていると思いますが、オーボエ、クラリネット、ファゴットにも寒い冬に向けて気をつけなければならないことがあります。
まず、何よりも気をつけたいのは「割れ」です。なにもコップが割れるように楽器が砕ける訳じゃありません。表面に「ピシッ」って感じのひびが入ってしまうことを言います。寒い日に楽器を出して、いきなり吹いたりしてませんか?そんなことをしたらその「割れ」が起こる可能性があります。いや、むしろ「割れてください」って言っているようなものです。
ここで、なぜ割れが起こるのかという事を説明しましょう。木というものは湿度や温度に敏感に反応するのですが、楽器が冷えきっている時は、云わば縮こまっている状態になっています。そこへ、管の内側に暖かい湿った空気(つまり人間の息)がいきなり通るとその通った所が膨張するのですが、外側はその膨張に追いつけないので割れてしまうのです。この「割れ」ですが、放置してはいけません。トーンホールにかかってしまったら音が出なくなってしまいます。場所が悪いと修理しても元どおりとはいかない可能性だってあります。
さて、予防法ですが、吹く前によ〜く楽器の表面を手で温めることと、寒い場所で吹かないことです。暖める時は間違ってもストーブなどにかざさないでください。これもまた急激な変化で、割れの元となるので注意してください。あとは、乾燥などで、トーンホールを押さえる「タンポ」が変形してしまったり、クッションコルクが縮んだりして調整が狂ったりすることがあります。「おかしいな?」と思ったら楽器屋さんですぐ調整してもらいましょう。状態の良くない楽器では上達なんてできませんよ?
また、学校の部室などに楽器を置きっ放しにしている人!これらのことは、夜、キンキンに楽器が冷えてしまうことによって起こり易くなります。楽器にとって一番いい場所というのはやはり人間がいて快適なところです。せめて、楽器ケースを毛布やタオルケットなどで包んであげるだけでも楽器の冷えは随分違います。
さぁ、しっかり冬支度をして、体も楽器も健康に冬を乗り切りましょう!